前々回は仕事探し編、前回は年収相場を知るでした。本記事では~面接編~になります。
また、本シリーズ「海外転職・アメリカGAFAの内定取るまで」の詳細は書籍の方にまとめているので、詳しく知りたい方は書籍の方を読んで頂けると嬉しいです。
書籍 Kindleリンク:
概要と導入
面接前にNDA(秘密保持契約)を結ぶので、具体的な内容(特に技術面)については書けませんが、僕(Mikan)の経験と知見を語りましょう。CVを2通出して、面接まで進んだのはこの一社のみです。
たしか、CV提出後に電話をしたいとリクルータからメールが一通来て、簡単な日時調整をしてからいきなり電話面接がスタートしました。これはスクリーニングだったのか、この後の面接の説明だけが目的だったのかは謎です。この電話にて、採用選考のかなり大まかな流れを説明されましたが、面接回数の説明は無かったです。
面接は全て1:1の1時間ほどの長さでしたが、結局、合計で10回を超える面接がありました。(どひぇ~、10回以上ですよ。。。)
COVIDもあってか、すべてオンライン形式でした。COVIDじゃ無かった場合は少なくともループ面接は対面になるはずで、飛行機代やホテル代が出るのだと思います。
総数10回を超える面接ですが、人事系、エンジニアとの仕事の立ち回り系、エンジニアとの技術直球勝負系、の3つに大別することが出来ました。面接官は、人事、上司、同僚、部下、別の部署、と360度評価に出てきそうな面子でした。また途中にループ面接というものが入るのですが、これは1日に6~10人くらいの面接官が集まり、その人を取り囲んで一気に面接をしてしまうというものです。日米時差から面接は深夜でした。ループ面接は8時間くらい拘束されるので、深夜からスタートして昼くらいまでぶっ続けで面接するとても疲れる一日になります。
事前対策 Engrish
知ってます?日本人が英語できないのを揶揄して、また僕たちにとって”r”とか”l”の発音が鬼門なように、Englishでは無くEngrishと言われていることを。さて、前置きは関係無く、僕の結論は「英語で技術的な会話が出来るなら特に英語対策は何もしなくても大丈夫」です。
僕の英語力はというと、新卒入社時はTOEIC400点、英語論文や国際会議での発表経験がそれぞれ数回ありました。今回の面接を受ける1年前ほどから所属していた普通の日本の企業にて積極的に英語に関わる仕事は引き受けており、海外のお客様や共同開発先と毎週数時間の技術的な議論をしていました。これによって英語(特に技術ディスカッション)は鍛えられ、最後に受けたTOEICは800点ほどでした。TOEICでは技術的な議論は測れませんが、それでも英語が得意です、ましてやアメリカ企業の現地採用に直接行けますとはお世辞にも言えないレベルだと思います。
唯一実施した対策と言えば、YouTubeにて30分程の英語面接の動画を二つ見ました。英語圏の人が英語圏の人のための面接対策を紹介している動画です。内容は日本の転職でもだいたい必要なことと同じ内容が紹介されていましたが、英語のフレーズは参考になりました。というか日米の時差のため面接はすべて深夜から早朝になり、面接が始まるまでの眠気との格闘中に暇潰しにYouTubeを見ました。
そして、僕の面接中の英語は正直言ってボロボロでした。自分でも恥ずかしいくらい言いたいことがチープな表現しか出来ず悲しい気持ちになりました。けれども合否には関係無かったようです。言葉が詰まるともどかしい気持ちにもなりますが、僕はエンジニアなので、そこは情熱とノリで乗り越えたような気がします。エンジニアであれば専門用語は英語な場合が多いと思いますし、英語訳にも熟知していると思います。技術的なディスカッションにおいては、構造、物理法則、式、各種用語の定義、グラフなどは英語力がしょぼくても何とかなると思います。面接でも英語力は特に見られている雰囲気は無かったです。また、幸運にも面接は1:1ですので、コミュニケーションはやりやすい環境でした。
事前対策 勉強とトレーニング
僕はハードウェアエンジニアの場合です。僕が見た限りでのソフトウェアエンジニアの面接対策はハードウェアエンジニアの面接対策と随分と異なるように思います。ソフトウェアの場合はその場でのコーディング試験やアルゴリズムについての面接があるため、そのためのテキストブックが売られていたり対策Webページがあるみたいです。ハードウェアの場合はコーディング試験が無い代わりにホワイトボードを使った物理式の導出や説明、問題解決ロールプレイなんかがあります。僕の場合は、例えば、〇〇式の導出、物理的見解、仕事への応用などの説明を求められました。
さて、エンジニア採用なので、当然の技術力と、ユニークさも必要だと思います。最低限の技術力については、大学修士や仕事で使うような名著と言われている英語専門書の序盤の章に登場する物理式、その意味、言葉の定義はクリアにしておくと良いと思います。O-1ビザの要件をクリアしている博士レベルなら面接前の30分ほどテキストブックを読み直すと良いと思います。ユニークさをどうやって示すかですが、これは経験と応用力だと思います。これまでの仕事における自分の経験と理論について、その成功例も失敗例も紐づけることが出来るとそれはユニークだと思います。技術者あるあるなバカなアプローチでの失敗談なんかも受けが良かったです。失敗談は何かポジティブなことに変換して答えれるようにしておきました。
さらに企業の研究開発者でよく話題になるのは、シーズドリブン(技術が動機)なのかニーズドリブン(エンドユーザの要求が動機、アプリケーションが動機)なのか、があります。ビジネスが前提の技術開発の中ではこれらも意識して、会話の順序と流れ、言い方にも気を付けましょう。
事前対策としてはこういったエピソードの引き出しを増やして、会話の流れの中で効果的にリンクできるように頭の中を整理しました。
事前対策 Q&Aリスト
技術面接の直前になり、というか寝落ちしないための暇な時間に、Q&Aリストを作りました。これはとても良い事前対策になりましたのでおススメです。作ることで頭の中が整理されますので、実際にこのリストを見なくても良い回答が出来ました。咄嗟の英単語も出やすくなります。
メインは英語で書きますが、箇条書きや単語だけにしました。おそらくちゃんと英語の文章にしてしまうとそれを読んでしまいたくなると思います。このQ&Aリストは面接が進むにつれてアップデートしましたが、初期のリストは直前の1~2時間ほどで作ったラフなものでした。
作ったQ&Aリストは、オンライン面接なので同じ画面に表示させておけば読むことが出来ます
が、僕はしませんでした。チラ見だけしました。オンライン面接とは言え、お互いの顔は見えますし、相手の目線や、文章を読んでいるのか考えながら発言しているのかはすぐに分かると思います。
とても具体的な技術質問の例はグラスドアのGAFAを見ると出てきますので調べましょう。ほとんどの面接官はGAFAの中で転職を繰り返しており、質問傾向はGAFA共通だと思われます。
Q&Aリストは随時追記していったのですが、最終的には8ページほどに到達していました。途中から見やすいように、一般、専門、専門コア、の3つのセクションに分けました。一般は仕事の振る舞い(アメリカではBehaviorと言う)、専門は振る舞いと技術の中間(プロジェクト的な感じ)、専門コアは技術ド直球なことです。
書籍の方ではQ&Aリストの例を載せています。
いざ面接!
の前に時差に気を付けよう!僕は一つの面接で1時間間違えました。面接は深夜だったので、眠気と戦いながら、暇つぶしのためにモンハンでも戦っていました。気が付いたら面接がスタートしていて、リクルータからの電話で気づきました。多分の僕の場合は関係無かったと思いますが、サマータイムのオンオフにも気をつけましょう。米国時間がいきなり1時間ズレる迷惑な日があります。複数の面接がサマータイムを跨ぐとややこしいと思います。
だいたい面接の前日くらいに面接官の名前を教えてもらえました。ここで仕事探し編で紹介したLinkedInの登場です。面接官の情報にアクセスして過去の発表論文・特許や出身大学や経験年数、さらには共通の知人などから、共通の話題を脳内シミュレーションしました。また、面接官は大変著名な方もおられるので、そういった伝説級の方はLinkedInでは無く、単にgoogle検索でもニュースやブログがヒットしました。それぞれの面接前に、10分くらいは面接官の素性を調べました。事前対策でも説明したように、すべて一夜漬けで何とかなりました。
技術面接において、とてもうまく進んだなと感じた場面ではとてもテンポが良く気持ちよかったです。漫才のような感じでしょうか?テンポが良すぎて面接官が次に質問したいことが未来予測できる感覚でした。不思議な話ですが、今の質問の回答をしながら、次に来る質問の回答を考えていました。次に相手が何の話をしたいのか、何を聞きたいのか、これまでの会話の流れから話す前に分かりました。英語なのに。面接官が事前に聞こうと思っていたことを全て消費してしまい、その分フリーディスカッションによる深い議論ができ、僕のエンジニアとしての力もかなりアピールできました。
全10回を超える面接ですが、後半の方が後味が良かったです。言い方を変えると後半ほど手応えを感じ、面接そのものを楽しんでいました。技術者との面接後には面接のフィードバックをリクルータ経由でもらえます。次の面接へのパス判定と同時にもらえました。面接後に翌日に結果を教えてもらえることもあれば、1週間ほど待つこともありました。次に進めることが出来ると分かるとそこから次の面接の日時調整に入ります。
ところで、疑問に思いました。最終面接がいつやってくるのか分かりません。リクルータも「それはケース・バイ・ケースだ」とか言ってよく分かりません。日本での面接では選考が進むにつれて面接官の職務レベルが高くなっていき、最終面接では役員クラスだと思います。つまり話すべきストーリーが選考の経過によって明確に、しかも事前に分かっています。今回のアメリカでの面接では日本形式の最終面接というものが存在しなかったです。採用決定権を持っているマネージャ(採用マネージャという)が存在し、その方が面接官全員の意見を集めて判定するそうです。僕の場合それが誰かは分かりませんでしたが、後になって考えると3~5人目くらいに登場した人な気がします。ちなみに最後の面接官は普通のエンジニアでした。
僕は何の知識も無く飛び込んでいるため、よく分からないまま面接だけが永遠と続くように感じました。リクルータから「次が最後面接だよ」とは言われることは最後までありませんでした。後半に進むほど面接は楽しく手応えもあったのですが、一方で夜な夜な10回以上も面接してきて、それらを失うことへの恐れも感じる変な感覚でした。僕は一社しか面接に進んでいなかったですが、これを複数社同時にやるのは精神的にかなり疲れそうです。
後日談として、「より良いポジションに」という議論をしてくれていたそうで、当初に応募したものとは異なるポジションで採用されました。複数のポジションで内定をもらっていたそうです。そのためにズルズルと面接が増えたのだとか。
以上が面接編のまとめになります。次回記事はオファーをもらった話になります。
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